●フレーバーテキスト●

 

時は現代より200年の後。
デジタル化は永久発電の開発により更なる進化を遂げ、人々は不自由ない生活を送っていた。
―――それが、突然終わった。 

見渡す限りの灰色。荒廃した世界。
世界の『崩壊』から半年経って尚、全くといっていいほどに復興は進んでいない。

「なぜ生きているのだろう」

『崩壊』は、隕石の衝突とも、火山の一斉噴火とも、大地震とも言われているが、どれも一説にすぎず解明されていない。
中には暗黒神の怒りだなどという宗教じみたことを唱えるものもいた。
その神を信仰して生き残ったのなら暗黒神はさぞいい神様なのだろうなどとくだらない事を思いながら、灰色の町を歩く。
町といってもすでに廃墟であり、かろうじて残った地下シェルターを利用して自分は生きている。
避難する暇などなかった。ほとんどの人が息絶えた。

なぜ自分は生き残ったのか。

堂々巡り。この先生きることに何か意味はあるのだろうか。
自分と同じように、生き残ったものが数人いた。他の町からここにたどり着いたらしい。
そうやって寄り集まり、ほんの数人の『ファミリー』ができあがった。
もしかすると、ほかの町にもそういった集まりがあるのかもしれない。

自分は何をすればいいのだろう。
食料はシェルターに残されたものがこの人数なら後半年分といった所か。
流通も通信も途絶えている。データはかろうじて自己プログラムに内蔵された身分証明を電子映像として出すことができるくらいだ。
今日も来ぬメールをボーっと眺める。

探究心で崩壊の原因をつきとめる?
生きながらえる為に食料を確保する?
他に生きている人を探す?
残りの人生を何かで謳歌する?

結局の所、この半年はそんなことばかり考えているが一歩も進みだせていない。

が。
―――ビーーーーーッ!ビーーーーーッ!
突然プログラムにエラー通知を現すアラートが響いた。
と同時に。
「……たす……け…て……」
かすれた音声が、確かに耳に届いた。

 

************************************